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コロナウイルス感染による初期症状として味覚異常が起こるのは、なぜ?

2020.04.27

日本歯科医学会連合 新型コロナウイルス感染症対策チーム 2020/4/6発表より引用

右の図のように、重症の場合、コロナウイルスは気道細胞に感染し、肺炎を発症し、呼吸困難に陥ります。作用機序は、コロナウイルスのsタンパク質がACE2受容体に結合した後にタンパク質分解酵素(TMPRSS2)によりsタンパク質が活性化され、気道細胞に取り込まれ感染を起こします。

味覚障害は、一般的にインフルエンザによる感染でも起こりますが、現在猛威を振るっているコロナウイルスでも初期の症状として起こっています。

図で説明したコロナウイルスと結合するACE2受容体は、体内のあらゆる個所に存在し、口腔内では特に舌に多く分布しています。そのため、コロナウイルスが舌にある味蕾細胞上のACE2と結合し、味蕾細胞を破壊するために起こるものと思われます。

体内への入口である口腔は、鼻腔とともに咽頭や気道に先んじて感染するものと推測されます。初期の場合、鼻腔や口腔だけが感染している可能性も十分考えられます。すなわち、発熱や咳や呼吸困難がなくとも、味覚障害だけが現れることもあります。味覚障害は新型コロナウイルス感染の自覚症状のシグナルと思ってください。